2006年11月20日

男たちへ-塩野七生

本棚を整理していたら、こんな懐かしい文庫本がでてきた。初出誌『花椿』1983年6月号から1988年1月号、単行本1989年1月、文藝春秋刊。 私が買ったのは文庫本になってからで、文庫本は1993年2月が第一刷となっている。

いつも読んだ本が気に入ると、どんな人がこういう文章を書くのだろう、と興味を持つから、そんな時に本屋で見つけた一冊だったのだと思う。

そして、これに書かれている内容から受ける『塩野七生』という人のことをすっかり嫌いになり、暫くはこの作家の書く"有名な"歴史小説もまったく読みたいと思わなかったほど、当時アグレッシブな印象の残ったエッセイ集だった。

整理している途中でもう一度ぱらぱらとページをめくると、当時嫌煙していた事柄なのに、なるほど言っていることは良くわかる、と同調することもある、全部じゃないが。

イタリアで生活する間に、きっとそれだけ私自身も頑なになってきたこともあるだろう。以前攻撃的過ぎるとも思えた独特の切り口も、きっとイタリア語やイタリア生活に揉まれた結果に違いないから言える、ということもあると勝手に納得。

いとこ曰く『お気に入りの女性作家のひとり』だそうだ。そうだろう、とても論理的で個性的、そして斬新だ(何年も経過した今読んでも)と思う。

ただし、私自身は歴史は小説で読むより、史料を読む方がずっと想像力を駆りたてるので、すぐに気が変わってこの方の歴史小説を読もうということにならない。機会があれば読むかもしれないが。

そうそう、今では何でもないことだろうが、随分前から『白黒はっきりしたスタンス』を持っていた日本人女性なのだな、とちょっと感心した。写真などで見る限りでは、同年代(1937年生)のイタリア女性たちとちゃんと肩が並ぶくらい "意志が強そうで綺麗" なので、さらに感心してしまった。

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