2012年10月30日

10月!初雪と

10月最終日曜日、一足もふた足も早い初雪となりました。Bruuuuuuu
冬時間に合わせたかの如くです。
 
 


先日ボランティアで「MondoPentola」の前菜のひとつに提供した太(中)巻き寿司、作ることを大いに楽しめた体験です。

ギリギリになって『事の重大さに不安が募る』ということも多々あるので、不安に押しつぶされないことを心がけ、また友人の「気合い?」の一言に勇気つけられたものの、前日に厚焼き卵を作るというところからちょっと緊張はしましたが。

味と時間を目安のために2本ほど練習すると、我ながら思わず手際良く、何本もやれば最後のほうはかなり上手くなるはずに違いないと、かなり楽天的に当日に臨んだ結果、80人分(気持ちの)余裕を持ってなんとか無事こなせたのでした。

どうやら、配膳の子たちが前菜のお皿を持っていく度に、説明を求められたらしい。改めて巻き寿司が“異なるもの”で“何これっ?”て具合に興味をそそる、気を引くものなのだ、と認識する。食べてみると、意外と味はデリケートだから舌も驚かない(私が想像するに。でも海苔はどうだったのかしら)、ちょっとした話のタネにはもってこいだったのではないかな。

好みはそれぞれだから気に入ったかどうかは別にして、見て食べて、紙も食べていいの?などと些細な興味を持ってくれたことが一番、私的には大満足である。いきなり複雑な紹介をするより、日本を印象つける「近道」ではないかなと思うのだ。

そして特筆すべき、今回のセコンド「牛肉の煮込みアラブ風」-Stufato di manzo con salse alle albicocche e alle prugne はカレー・サフラン・生姜などの香草と一緒にじっくり煮込んだ牛肉がフルーツの甘みと良く合ってかなり好ましい一品でした。また前菜の「アラブ風包み揚げ」-Sambus di carne speziataはほぼ春巻き、またはピロシキに近いことで、遠くて近い食の世界を発見。教訓、何事も食わず嫌いは禁物である。(昔昔よ~くお説教されました。)

近日中に各レシピが フェースブックに掲載されるそう、楽しみです。巻き寿司はフォトジェニックですからね。

2012年10月19日

(一般)イタリア人のための Maki-sushi

5年ほど前、在住外国人文化を知るイベントの一環「世界のお茶」シリーズで、”日本茶”を紹介することになった、そのときからのお付き合いの国際文化交流ボランティア団体(あんパン試食の)なのであるが。

今回は夕食会の準備会議に(ほぼ手違いで)参加したら、話の流れで、思わず前菜のひとつとして巻き寿司を作ることとなった。

夕食のメニューはメインがアラブ料理、プリモと前菜にイタリア南部と北部、そこに一口の巻き寿司(最近、寿司はオシャレの代表みたいになっている)という具合。

飲み物に水、ワイン、ミント・ティー(、、、)。そこで、緑茶を追加で提案したら、即認可。
近年の健康ブームが拍車をかけて、緑茶もまた、イタリア生活のなかにかなり浸透してきているのである。でも売っているペットボトルのグリーン・ティーは、出がらしの緑茶に砂糖を入れたようなもの、ティーパックは、お湯に緑または茶色に変色するだけのもの。そこで、グリーン・ティーは日本のもの “D.O.C(産地呼称)”を提供するつもり。
今までなら、日本食を異国料理と一緒に並べる提案は、その味の遠さに断っていたが、何回も打診されていたこともあり、また今回は外国文化を理解しようという気持ちはあっても、日本に特に興味を持っているわけではない、(日本も極東という程度の知識でしょう、私たちがアラブ圏の全ての国を知らないように)そういう層にまず食から親近感を持ってもらう、というのも面白いのではないかと引き受けた。 

それに、料理は私の得意分野ではないが、4年間代表を勤めていた日本文化交流会での、『家で寿司を作ろう教室』や会員同士の交流昼食会の企画コーディネート経験で、ある程度のコツもわかるようになり、度胸だけはつくもの。(全てが練習になり、苦手だったものも次第に上手く形にはなっていくものだ。)

それより、幼少時代は巻き寿司は買うものでなく家で巻くもので、炊きたての白いご飯にすし酢を混ぜる時、団扇であおぐのが常に子供たちで交代の役割だった。なぜかこれだけはかよ~く覚えていて、お客様が来るときの思い出みたいになっている。考えたら、私の一番身近だったもので、昔昔ごく近くで見ているのだから、出来ないことはないだろう、というのが母の考え。

一方、我が家のホームパーティでも、友人たちも私のスペシャルだと(勘違いして)期待し、好んでもらっているもののひとつ。
でも私が用意するお寿司は、変わったものを好まない家族に合わせて、生魚は使わないし、食卓に並ぶイタリアンの邪魔にならない味にしないと、後先の食事や、ワインが台無しになるから和風であって、日本そのものではない。食に関しては私自身が、あまり斬新なものは苦手なので、巻くネタはいつもきまりきったもの、ほぼイタリア人の口に合うように、謙虚に日本の味をアピールする。
案の定、ひとりのボランティア女性から、私自身はむしろ鮮魚が好きなほうでお寿司も大好きだけど、生の魚を使うは衛生上問題ないでしょうか?という恐る恐るの質問メールが届いた。
ここのところの寿司ブームで、中心地に“寿司を出す中華レストラン”が増え、手軽にランチタイム食べ放題に行く若者も多いらしいし、スーパーでパックが売られるようになったから、およそ寿司イコール生魚を食べるらしい、というイメージが出来ているのだろう。
私は日本人のステレオタイプじゃないらしく、生魚も苦手なうえ、特に山岳地方トレントは海水魚を食べる習慣がないから、下ろす技術はどうか?とか余計なことまで想像して躊躇してしまう口だから、気持ちは多いにわかるのだ。
そこで、私の事情と、野菜・卵焼き・スモークサーモンやツナ缶を巻いたお寿司の写真付きで、見た目もいいし、一口サイズで食べやすいわよ、と回答しておいた。
かどうかはしらないが、夕食の予約が急に増えたので、少人数のつもりがもう少し大勢のために寿司を巻くことになりそう。

2012年10月18日

あんパン in Italia

様々な理由で、昨年で日本文化交流会からは引退したが、もともと県内在住日本人のために発足したことが時に役立っていることもあると思うことも。そのひとつは、他からも見つけやすく、異国に住む日本人同士の繋がりを辿る小さなきっかけになっていること。




先日は、隣県ボルツァーノ在住の女性から、ふわふわの柔らかい日本のあんパンが食べたくなってホームメードしています、というメールがリストと一緒に回ってきた。

私自身は甘味が苦手だが、ほとんどの老若男女イタリア人は甘いお菓子に目がないし、特に、結構流行りに敏感、最近ブームの健康志向で、azuki という自然食品店で売ってる“豆“に絶対(トレント人)は反応するに違いないと、早速注文、ブッフェを企画中のボランティア団体で試食してもらおうと事務所に持っていく。

パンというより、お菓子と紹介。その反応は、ふわふわのパンは子供のおやつのミルクパンを思わせる味、餡子が程良く甘く、重たすぎず、でも満腹感がある、と味を絶賛、美味しいと。

今回私が注文したのがミニサイズで、日本のあんパンよりずっと小さいので、ほぼ一口が二口で食べられる、大人にはこれがちょうど良いと思うのだ。思わず贅沢な餡入りに、こちらのミニクラッフェンよりイケルと思ってしまった。

Ritaは朝食にちょうど良いとの意見で、確かに忙しい朝にコーヒーとビスケットをつまんで仕事に出かける、スリムな彼女のイタリア式朝食のビスケットよりはいいかも。むしろ、ビスケットをミルクにつけて柔らかくして食べるくらいだから、柔らかいほうが食べやすいってことじゃないの?!

パンのお礼とともにイタリア人の感想を送ると、前回は上出来作品だったそうで、この反応はますます嬉しかった様子。彼女の住むお隣のボルツァーノ県はイタリアというよりもドイツ系、ご主人のお友達などには、餡は栗の味と似通っていることで、とても親しみやすいのだそう。成るほど!

そういえば、日本からの土産としてこちらの家族に時々栗菓子を買ってくる時も、あまり違和感なく食後のお菓子と化しているものね。

日本代表の一品として、次のブッフェに提供させてもらえるかどうかは、会議での検討してもらうとして、お寿司の次は『餡子』『azuki』というブームになったら愉快、と密かに期待しているのだけれど。



2012年10月16日

いよいよオンエアーです「おぉ信州人!」

今年の夏にイタリアに住む信州人を訪ねてやってきた長野テレビ朝日『お~信州人』、いよいよ本日16日(火)18時55分よりオンエア―されます。
視聴者の方たちのお楽しみは様々でしょうが、個人的には、この機会に是非知って頂きたいのが、アルトアディジェにおける信州リンゴの試験栽培
苗を輸入するにあたり様々な制限を乗り越え、幾年かの歳月を経て、りんごの実が成るまでの情熱と努力、また将来についての戦略が綿密に研究されているに違いないこと、栽培を通じて築いてきた長野県とアルトアディジェとの絆など、ちょっと興味深いでしょう?
9月にトレンティーノのりんごの里ノン渓谷の友人から“今年のりんごの収穫は例年より少し早めです”というメール-が届いたとき、実は思わず、真夏に70ミリだったアルトアディジェの信州リンゴのことを思ってしまいました。予定通り90ミリほどの大きさに、そしてアルトアディジェの人々を魅了した“輝く黄色い”りんごにちゃんと育ったのかしら、と。
在トレンティーノ・アルトアディジェ州日本人としては(オリンピック参加のスキー選手応援と同じで、こういうときだけは県単位でなく州単位になる)この試験栽培、そして信州りんごの将来がとても楽しみなのです。
それから、トレントの(街の?)日本でのテレビ初登場(だと思います)、これはちょっと感慨深い。十数年前にトレント県(トレンティーノ)とボルツァーノ県(アルトアディジェ)の各観光局が協力、東京で開かれた世界旅行博のために日本語の観光パンフレットを再編成、トレンティーノの宣伝をするために私もプロモーターとして東京へ同行したことがあります。
フェアーは大盛況でしたが、その後予算の関係で、こちらの観光局の市場ターゲットから『日本』はずされてしまった。(最も、当時は日本でも知名度が低かったことも確か)
トレンティーノはこの十年間行政が比較的上手く機能し、恵まれた自然環境を尊重する都市計画が着々と進行、何と昨年はイタリアで住みやすい県の一位に帰り咲きました。
一方近年の、3県にまたがるドロミティ山塊のユネスコ世界遺産登録は、観光地のリソースとしては十二分の価値に。
そこで、県庁所在地のトレントは、ドロミティ山塊とヴェローナ訪問の際に途中下車しても、一服ゆったりした気持ちで過ごせる美しい街、という位置で納得、全くの手前味噌ですが。

2012年10月11日

再読、空想工房 ー 安野光雅




20代の半ばに友達と開いたフリーマーケットで本も売ったから、もうかなり手元から離れているが、(後の後悔先に立たず。トホホ。その後同じ本を探しに古本屋を回ったっけ。)それでも売らなかったものもあるのだ、幸い。

毎年帰省の際に必ず何回かは書店に立ち寄り、長居して気になる本を探すのが習慣。それに実家の本棚から数冊スーツケースに入れて持ち帰ることにしている。だからといって新しく買った本を読み終えているかというと、そうでもなく、時間のあるときにゆっくり読もうまたは読み直そうという類のものである。その中の一冊。『空想工房』を恐らく○十年ぶりに読む。

本来活字中毒だから、読むか書くかしていないと落ち着かないのだが、近頃はもっぱらパソコンで読むことが多く、しかもあらゆる情報が入るからやり出したら止まらない。
しかし、キーボードかマウスが原因だと思うが、関節炎になり、ほっておいたら肩が動かなくなり、腕の筋力が落ち、マウスを使う右手の握力がすっかり衰え、つまり都合が悪いのだ、体調が思わしくないのは。近年のパソコン漬けを大いに反省している。

『ググル』(というらしい)手を休めて、ページをめくることにした。随分日に焼けてる事で、時間の経過を意識せざるを得ないなぁ。

エッシャーのことを知ったのは、安野光雅のエッセイだったのか、不思議な絵を見て、エッシャーのパズルに親近感を覚えたのか、さっぱり覚えていないが、なんと夫が若かりし頃に夢中になったらしく、`我が家の壁にその一枚が飾ってあって、夫君との妙な趣味の一致のもとを見つける。

久しぶりに読み返し、(納)得したこと。
ABCの本』の覚え書き。言葉に対する日本人とアメリカ人、イギリス人の意見の違いというのがとても愉快なのだが、正に今日本の外に住んでいるおかげで、一つの言葉に対する考え方の違いに面食うなんて言うのは頻繁なので、言葉を選ぶ時の苦労の様子が実に良くわかる。

昔々本で読んだことを生で体験しているなんて、実に幸いだ。
安野光雅という、クリエーターの豊かな、あるいは危険な想像力を共有している気分がずっと続く。自分も実はどこかいつも妙なところに飛んでいく空想を持て余していて、時々まずいと思っていたが、もっとずっとずっと遠く飛ぶ人もいたのだと、少し安堵。