2012年10月19日

(一般)イタリア人のための Maki-sushi

5年ほど前、在住外国人文化を知るイベントの一環「世界のお茶」シリーズで、”日本茶”を紹介することになった、そのときからのお付き合いの国際文化交流ボランティア団体(あんパン試食の)なのであるが。

今回は夕食会の準備会議に(ほぼ手違いで)参加したら、話の流れで、思わず前菜のひとつとして巻き寿司を作ることとなった。

夕食のメニューはメインがアラブ料理、プリモと前菜にイタリア南部と北部、そこに一口の巻き寿司(最近、寿司はオシャレの代表みたいになっている)という具合。

飲み物に水、ワイン、ミント・ティー(、、、)。そこで、緑茶を追加で提案したら、即認可。
近年の健康ブームが拍車をかけて、緑茶もまた、イタリア生活のなかにかなり浸透してきているのである。でも売っているペットボトルのグリーン・ティーは、出がらしの緑茶に砂糖を入れたようなもの、ティーパックは、お湯に緑または茶色に変色するだけのもの。そこで、グリーン・ティーは日本のもの “D.O.C(産地呼称)”を提供するつもり。
今までなら、日本食を異国料理と一緒に並べる提案は、その味の遠さに断っていたが、何回も打診されていたこともあり、また今回は外国文化を理解しようという気持ちはあっても、日本に特に興味を持っているわけではない、(日本も極東という程度の知識でしょう、私たちがアラブ圏の全ての国を知らないように)そういう層にまず食から親近感を持ってもらう、というのも面白いのではないかと引き受けた。 

それに、料理は私の得意分野ではないが、4年間代表を勤めていた日本文化交流会での、『家で寿司を作ろう教室』や会員同士の交流昼食会の企画コーディネート経験で、ある程度のコツもわかるようになり、度胸だけはつくもの。(全てが練習になり、苦手だったものも次第に上手く形にはなっていくものだ。)

それより、幼少時代は巻き寿司は買うものでなく家で巻くもので、炊きたての白いご飯にすし酢を混ぜる時、団扇であおぐのが常に子供たちで交代の役割だった。なぜかこれだけはかよ~く覚えていて、お客様が来るときの思い出みたいになっている。考えたら、私の一番身近だったもので、昔昔ごく近くで見ているのだから、出来ないことはないだろう、というのが母の考え。

一方、我が家のホームパーティでも、友人たちも私のスペシャルだと(勘違いして)期待し、好んでもらっているもののひとつ。
でも私が用意するお寿司は、変わったものを好まない家族に合わせて、生魚は使わないし、食卓に並ぶイタリアンの邪魔にならない味にしないと、後先の食事や、ワインが台無しになるから和風であって、日本そのものではない。食に関しては私自身が、あまり斬新なものは苦手なので、巻くネタはいつもきまりきったもの、ほぼイタリア人の口に合うように、謙虚に日本の味をアピールする。
案の定、ひとりのボランティア女性から、私自身はむしろ鮮魚が好きなほうでお寿司も大好きだけど、生の魚を使うは衛生上問題ないでしょうか?という恐る恐るの質問メールが届いた。
ここのところの寿司ブームで、中心地に“寿司を出す中華レストラン”が増え、手軽にランチタイム食べ放題に行く若者も多いらしいし、スーパーでパックが売られるようになったから、およそ寿司イコール生魚を食べるらしい、というイメージが出来ているのだろう。
私は日本人のステレオタイプじゃないらしく、生魚も苦手なうえ、特に山岳地方トレントは海水魚を食べる習慣がないから、下ろす技術はどうか?とか余計なことまで想像して躊躇してしまう口だから、気持ちは多いにわかるのだ。
そこで、私の事情と、野菜・卵焼き・スモークサーモンやツナ缶を巻いたお寿司の写真付きで、見た目もいいし、一口サイズで食べやすいわよ、と回答しておいた。
かどうかはしらないが、夕食の予約が急に増えたので、少人数のつもりがもう少し大勢のために寿司を巻くことになりそう。

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