Dino Buzzatiの傑作といわれる『Il deserto dei Tartari』の一部を朗読。アルゼンチン音楽のアコーデオン生演奏のBGMがシーンの描写の想像を駆りたて、対象になる作品の作風や内容を紹介する良い演出だったと思う。ところが質疑応答のさい、一人の男性が『なんだってアコーデオンの伴奏をつけたのか?詩の朗読じゃあるまいし!!』なんて言って憤慨して席を立ったというハプニングがあり、これに対して会場に来た他の人々からの『ブラボ!』の再喝采があった。他の皆もかなり気に入ったということでしょうね。
このエッセイ集はBuzzatiの作品や作家自身の人生における永遠のテーマ、人生の苦悩、懸念、死に直面する時に自己に見出す生の意義について、作品を読みすすめるうえでの共感や疑問などを鉛筆書きでメモしておいた記録の集大成だそうだ。
小説の最後の場面、目前の広大な砂漠のなかに聳え立つ、頑丈な破壊不可能な『要塞』を目にした主人公に、作家自身の本能的にある自分との葛藤のそれと重ねたに違いないのと同様に、ヴィットもまた、以前聴いたことのある音楽や、目にする写真映像など、日常偶然出会うことがある様々な瞬間にも、Buzzatiが常に自身に持っていた孤独や苦悩を言葉で描写したシーンが重なり、今回のプレゼンテーションではそんな偶然を試したのではないだろうか。
つまり生きていくこと事が無意識に存在する意識を呼び起こす、偶然の出来事の出会いの連続なのではないかと。
Dino Buzzati (1906‐1972)
ベル-ノの名家に生まれる。父親はパヴィア大学の国際法学の教授で、ほとんど両親在住のミラノで生活する。本人も法学部を卒業する一方文学に強い興味を持つ。コリエレ・デラ・セラの報道記者としておもにヨーロッパ各地、アフリカ(1939)アジアを周る。またコリエレの芸術評論家としても活躍、ついには編集者を経て、週間誌ラ・ドメニカ・デル・コリエレの編集責任者に。常に『ノーベル賞を受賞するよりル-ブルに展示されたい。』が口癖で、『小説家でなく、描き書く』ことで日常を御伽噺語に見たてて語った。山とスキー、狩を愛す。
(『L’italiano e l’italia』guerra edizioni より引用)
2 件のコメント:
読みましたね、 そういえば Dino Buzzati.
爆弾のボタンを押すの押さないのという、一節。
(asaさんの著者紹介引用の本を広げてます、今。)(笑)
ちょっとピリッとした風刺が利いた内容で 記憶に残ってます。
これ授業で一部読んだだけですよね、確か。カフカに影響とメモ書きしてありました。
久しぶりに開けてこの教科書本今読むとさらに面白いです。そしてもっと完璧に勉強すべきだったと反省。
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