a)この空き地の利用法をめぐってまだ両者の対立が続いている。
b)この空き地の利用法をめぐる両者の対立が続いている。
『~をめぐって、~をめぐる』という動作の対象を示す表現の問題。
練習問題の解答はaとなっているのだが、何故bではいけないのか、という疑問が残り日本語の文法について調べてみる。
この表現は、~を中心点にして、どんな議論や対立関係が起っているかを言う時に使われる。例えば、
①この規則の改正をめぐって、まだ討論が続いている。
②土地の利用をめぐって、ふたつの対立した意見が見られる。
③待ちの再開発をめぐり、住民が争っている。
④マンション建設をめぐる争いがようやく解決に向かった。
後には、意見の対立、いろいろな議論、争うなどの意味を持つ動詞が来ることが多い。そして使い方としては名詞+をめぐってという説明。
そこで他の参考書は、
①憲法の改正をめぐって国会で激しい論議が闘わされている。
②彼の自殺をめぐって様々なうわさや憶測が乱れとんだ。
③人事をめぐって、車内は険悪な雰囲気となった。
〈中略〉名詞を修飾するときには、NをめぐるN、NをめぐってのNの形になる。
①政治基金をめぐる疑惑がマスコミに大きくとりあげられている。
②父親の遺産をめぐっての争いは、日増しにひどくなっていった。
そして別の文法ハンドブック、
複合格助詞の多くは動詞のテ形と同じ形をしている。テ形は動詞などを熟語に続いていく形で名詞に続いていく場合には辞書形にするかもしくは「テ形+の」の形にする必要がある。
東京湾の埋め立て{×をめぐって/○をめぐる/○をめぐっての}議論は、環境大臣の一声で決着した。
〈中略〉実際には熟語に続く形のテ形でも、名詞に続く形(辞書形・「テ形+の」)のいずれでもいい場合もある。
委員たちは新しい道路の建設{をめぐって/をめぐる/をめぐっての}議論を激しく闘わせた。
この場合、テ形の「をめぐって」は「議論を闘わせた」を修飾。辞書形と「テ形+の」は「議論」を修飾しているが、実質的な意味に差があまりない。
このように述語に続き形と名詞に続く形がどちらも用いられるのは次の場合、
1) サ変動詞「議論する、勉強する」が「議論をする」「勉強をする」のように格助詞「を」を伴う場合
2) 「議論をする」の意味で「議論を闘わせる」など「する」の変わりに他の動詞が用いられる場合
3) 受身形で「議論がなされる」や「議論が闘わされる」などの形で用いられる場合
さて、bの使い方は間違いなのでしょうか?
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