南シチリアのパルマ、数年前に母親をガンで亡くしたガエタノは父親と叔母との3人暮し。父は飲食業の成功を求めて近日中にドイツへ出発する予定でいる。息子にも同行を強いるが本人は生まれ育った土地を離れたくない。
一方、海を渡り難民として流れついたアラブ人のアリ、道路に倒れこんでいるところを幸運にも土地のイタリア人家庭に救われ、つてで仕事を得る。外国人労働者の手を借りることの多い農作業である。
退廃的ムードを漂わせるシチリア南部の小さな町では、現在も北部へ仕事を求めて移民するイタリア人が多い傍ら、不法外入国の外国人労働者達をわずかな収入で雇用して経営を支える土地の業者も存在する。国外で外国人として生活すべく選択をせざるを得ないイタリア人と、イタリアに移民した外国人との両方の視点から、不可能な状態における希望と失望を描く、選択の答えが出難い、やりきれない気持ちになる悲しい映画だった。
映画は実際ガットパルドの作者の土地、パルマ・ディ・モンテキアロで行われたそうである。貧困とは対象的に、海や教会、修道院跡などの景色は非常に美しく、人々の心に培う土地や宗教への拘りがドキュメンタリーのように描かれている。
また、現在自分の住む北イタリアと南イタリアの生活の違いというのも予想以上で少しショックである。
il gioco degli specchi 2008, CINEMA 上映作品のひとつ
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