黒澤明監督、1991年日本映画。
Cinema Vertigo のジャンピエロの絶大なる厚意と協力により2月から3月の間Barycentroで行った『SERATE A TUTTO CINEMA』の日本映画上映会の上映作品のひとつ。どの作品も様々な観点でいい映画ばかりだった。在日本人にとっては“家”を思い出す、日本を知らないイタリア人には“日本”を垣間見られるいい機会だったと思う。ホントにありがとう、ジャンピエロ。
記憶の新しいうちに、感想を。
<ストーリー>
戦後45年、長崎の田舎の祖母の家で夏休みを過ごす4人の孫たち。被爆地の長崎市内を訪問しながら歴史の中の出来事、第2次世界大戦について考えていく。またハワイに移民した祖母の兄弟のうちのひとりの息子(リチャード・ギア)が祖母を訪ね長崎を訪問、原爆記念45年にあたるその夏にアメリカ国籍の甥と初対面を果たす。
ジャンピエロも言っていたが、日本語オリジナル版の良さは特にリチャード・ギアが日本語を話している部分にあるのでは。日系二世の役柄の真摯な感じがとてもイイ。ハワイには日系人が多く住んでいることは周知だが、様々な理由で海外に移民し、現地で成功を収めている背景には家族とは疎遠にならざるを得ない犠牲もあるのだ。彼等の子供達は日本人の血をひいていても、完全な英語を話す米国人として成人する。
始めて会う伯母とそれほど流暢ではない日本語で会話するシーンが穏やかで印象的。親や自分のルーツを尊重する気持ちが無意識が働くのだろうか?これは終戦後のアメリカと日本の理想的な関係を象徴しているかのよう。
ひと夏の不思議な縁の対面と、原爆を思い起こす雷を伴う豪雨、それも湿気の多い日本の夏には起こる天空が狂ったようにまた怒ったように降る激しい雨のなか、人も恐怖で我を忘れたようになるシーンで締めくくっているところが、映画のタイトルの『狂』と重なるのかな。
常に疑問に思うことだが、被爆地の日本はこの歴史的過去についてどう受けとめるのが公正なのだろうか。
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