1985年出版で世界各国語でも翻訳されベストセラーになったパトリック・ジュースキントの同名小説の映画化。
18世紀のフランス、パリに程近い貧しい小さな村に生まれたジャン・バッティスティ・グルヌイユは生後まもなく孤児になり売却される。5歳になるまで言葉が話せないでいたが、彼には特別な才能があった。それは、世の中に存在するありとあらゆるものに臭いを識別する鼻をもっていたことだ。
ある日、イタリア人の香水店のオーナーにその才能を認められ、弟子入りすることになり、香水のエッセンスの蒸留法を学びはじめる。ところが彼は女性の持つ独特な香りを調合し保存する拘り続け、研究と実験を重ねていくうちに殺人を犯していくことになる。
映画は18世紀のフランスの山村の光景や衣装、エッセンスとなりうるあらゆる存在物の色彩や香水店のボトルなど、映像が非常に美しい。一方残虐なリアルなシーンもかなりあって、目を反らしたくなる場面が度々あった。
ノンフィクションの物語に違いないが、18世紀頃のフランスはまだ狂喜が充満、混乱していて、様々な過ちを犯していても不思議がないだろうと想像してしまう。天才的な臭覚の持ち主がいても少しも変ではないだろうし、大衆を惑わすという香りが、大衆を動かす思想のように存在したということもありえないこともないだろうと、錯覚を起こしかねない映画である。
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