「帰れない山」 パオロ・コニェッティ著・関口英子訳
良本が好きそうな友人には思わず薦めた、昨年前半に読んだいち押しの一冊。
どうやら翻訳がよく、最初に日本語で読もうと思ったが、入手を待てずに言語版を購入した。そうしたらイタリア語がとても美しいのだった。私のイタリア語レベルで断言するのもおこがましいが。
まず主人公が山男たちであるということや、山岳地方の情景などは私にはとても近しいこともあるから、ほぼ共鳴できると錯覚することばかりだった。山を愛する北部の男たちは彼ら共通の顔つきなんかがありそうで、朴訥な話し方や地方独特のアクセントがあり、それゆえに親近感を持ちあったりする。
そして父と子、男友達の関係が実にいいのだ。それぞれが心情を表に出すことに慎重であり、そのことにより間違えたりすることもたたあるが、ただそれぞれの方法で人生を進めていく。個人的に、こういうちょっと内向的で難しい人たちに興味を持つ傾向がある。
母親は自然で押し付けがましくなく、無理のない女性で、息子と母親のほどほどの距離を保つことにうまく成功している。女友達は、彼女よりもう少し反社会的でモダンであったりする、というような彼らの身近な女性たちも実に思いあたるふしがある。
帰省して、ようやく読んだ日本語版も美しい日本語で翻訳されていてこちらも好ましかった。在伊の身からすると、イタリア語の方が、話し方やアクセントまで想像できてしまうところがあり、もっともっと親しみを持てるというメリットはあったかもしれない。
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