2007年10月31日

25年ぶりの再会

 昨年の今ごろの話しなのだが、県の納税課から夫宛一通の手紙が届く。

その内容は自動二輪車に対する税金の滞納通知で、支払いの勧告だった。彼も疑ったのは、その二輪車は実に25年前に他人に売却したもので、納税滞納期間は近年3年くらいのものだったせいだ。昔々大切に乗っていた二輪車がいまだに廃車されずに実存、その税金の支払い勧告を今ごろ受け取ったのだ。他人の手に渡してからというもの、その消息は売った相手ももちろん途絶えていたのだ。

ところで問題は納税勧告で、彼は早速たまたま窓口の会社に勤めているいとこに相談してみる。売却したことを証明する公証書類は手元に残っていたから、彼のものでないことは明らかなのだ。

さらにつてをたどって、3年前までの二輪所有者の氏名と在住地域だけは調べることが出来る。

といってもここには同性同名なんてゴマンといる、特に地域で同じ苗字なんてザラである。しかも本人の名前で電話帳に登録しているとは限らない昨今。それでもと、同性の苗字のお宅に電話をかけ持ち主を探し始めたところ、ある日『それはきっとうちの甥だ』というシニョ-レにつながったのである。

親切な叔父サマは彼の甥の居所を教えてくれたことでちょっと期待を持ち、その後二輪の持ち主本人と連絡がとれることとなった。

持ち主もまた驚いたに違いないが、誠意のある人で幸いだったと思う。廃車処理手続きをする旨即合意。

約1年後のある日廃車処理場で二輪持ち主と待ち合わせすることになった。彼は二輪を、こちらは手続き書類を持参、25年ぶりに再会することになる。

その日持ち主は今でも愛好家らしい様相で現れた。20年ほど前に買取り何年間かは乗っていたが、部品が破損してからというものガレージにナイロンカバーをかけただけの状態で保管、動かない二輪車のために3年前までずっと税金だけ支払っていたというわけだ。

さてその二輪は錆がひどく、チェ-ンも切れたまま、見るからに手入れがされずにほっておかれたことがわかりちょっと痛々しい姿。名義変更がされていなかったために書類手続きができずにいたのだろう。25年後漸く廃車場行きになったという運命である。

シンプル極まりない型にみえるが、当時にしてみれば画期的な仕様モデルだったそうで、夫君がアルバイトをして貯めたお金で始めて手に入れた中古の『二輪車』だったという。想像していた以上に保管状態が悪かったのは残念、でも買った当時に自分専用のデザインにしようと切りこみをいれた個所がまだそのまま残っていたのは懐かしかったなぁ、、、とポツリ。

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